マッハ!!!!!

一部で話題沸騰のムエタイ映画『マッハ!!!!!』見てきました。えービックリマークの数合ってますか。しかしドラゴンボールのフキダシの中みたいな邦題だなあ。原題は『オンバク』というらしいのですがこれどういう意味なんだろ。


それはともかく感想ですが…スゲエ!とにかく主演のトニー・ジャー君のアクションが衝撃的です。身体能力、技のキレ、美しい肉体、怒りに満ちた時の目の演技。どれを取っても素晴らしい。空中回し蹴りなんか凄いですよ。宙に飛び上がってキリキリ2回転したかと思えば、繰り出す一の足はフェイント(!)で続く二の足がスパンと顔面ヒット、その後スタッと着地。いやあ文章だとこの凄さは伝わりませんが、実際に見るとたまげます。そしてムエタイの神髄は肘と膝にアリ!とばかりに炸裂するニー&エルボー。膝膝膝!肘肘!膝膝膝膝!時々ローキックでまた肘肘肘肘肘!膝膝膝膝膝膝膝!肘肘肘肘肘肘肘肘肘肘肘!そしてトドメは立っている相手の脳天めがけてジャンピングエルボードロップ!(ええっ!?)普段拳と蹴り主体のアクションを見慣れている者にとっては余りにも目新しすぎる格闘スタイル。新鮮です。


しかし真に凄いのは、こうした凄まじい格闘シーンがどう見てもフルコンタクトにしか見えないというトコで…。寸止めの気配ゼロ。とにかく全ての攻撃がモロかそれに近いかたちでクリーンヒット。痛ッ!しかも攻撃の主体が肘と膝なもんですからこれはもう…。人間の体でもっとも鋭く固い部位が、手加減もナシで頭のてんこすに突き刺さるもんですからこりゃあ痛い。こうした手加減の無さがこの映画の身上で、それはアクションシーンの組み立てにも顕著です。前半の路地での追いかけっこのシーンなど、次から次へとアイディアを惜し気も無く投入。しかも一歩間違えれば人死にが出そうな危険なものばかり。それをノースタントで次から次へと畳み掛け、ときおきギャグも挟みながら観客をグイグイ引き込んで行くあたりは黄金期のジャッキー・チェンの映画を彷佛とさせます。


つか、この映画の作り手はどうもジャッキー・チェンの映画をお手本にしているらしく、見せ場のアクションをスローモーションで別アングルから何度もリプレイしたり、映画の最後にNG集が入っていたりするあたりがモロに往年のジャッキー映画のそれ。先の路地裏での追いかけっこは『プロジェクトA』が元ネタか?そのへんをリアルタイムで体験していた身としては非常に懐かしい感じ。ひさしく忘れていたこのワクワク感。劇場では小学生ぐらいの兄弟が無我夢中で見入ってましたが、奴らウチに帰ったら早速ヒザ蹴りの真似して母ちゃんに怒られると見た。


とにかく身体張って無茶をして世界中を唖然とさせていたころの香港映画の熱いスピリットが、時空を超えて今よみがえるという必見のアクション映画。アクションだけじゃなく、ドラマ部分も結構泣かせます。


ちなみに原題の『オンバク』は劇中登場する仏像の名前でした。さすが仏教国。


(2004年08月05日)
マッハ!!!!!
Ong-Bak
2003年 タイ
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演:トニー・ジャー ペットターイ・ウォンカムラオ プマワーリー・ヨートガモン