マトリックス・レボリューションズ

えー観てきましたよ。『マトリックス・レボリューションズ』。この感想を書く前に前作『マトリックス・リローデッド』が個人的にどうだったか書いておきます。アクションはもう飽和寸然のエスカレートの極みで、例の百人スミスのシーンなど凄すぎて爆笑。高速道路のシーンも良かった。話もラストのタネ明かしが「マジすか?」と腰が浮いてしまうドンデンっぷりと謎の残し方で、完結編への布石としては申し分のない引っ張り方。まあ一本の映画としてはアクションパートとストーリーパートが完全に分裂しているあたり、少々とっちらかった印象もある訳ですが、それも『レボリューションズ』におけるオトシマエのつけかた如何で水に流そうじゃないか兄弟!というわけで、1作目の時ほどの衝撃と興奮はないものの、おおむね満足で完結編をわくわく待つモードに突入した訳でございますね。


で、その完結編を観た訳でございますが、何を書いてもネタバレになりそうで怖いな。まあなるべくバレないようにボカして書きますが、用心してらっしゃる方は読まない方が無難かと思われます。(以下しばし改行)
































まず、観終わったあとの印象…。


スッキリしねえー!


いや二重の意味で。まず謎が謎のままでほったらかしな点が多いところ。それから決着のつけ方が、なんというか政治的妥協の結果っぽくって興奮ともカタルシスとも無縁なところ。つーか、この映画の最大の問題は、観終わったあとに「何がどうレボリューションだったんだ?」と頭を抱えてしまう事ではないでしょうか。だいたいレボリューションズ(しかも複数形ですぜ)と銘打っているからには、白が黒に、黒が白に、闇が光に、光が闇にというぐらいの大変革があってもよさそうなもんなのに、この映画における変革といえば(以下ネタバレなので空白部分をドラッグして御覧下さい)「もう台湾さあ、いろいろあっからとりあえず攻撃すんのはやめといてやるよ」と中国があきらめたぐらいのものであって、まあそれはそれで革命的なことなのかもしれませんがそれにしたって地味だろ!うっうっうっ…。あるいは劇中意味ありげに登場するインド人の女の子…プログラム同士の愛の結晶として誕生した初めてのプログラムらしい…が「変革」を象徴しているフシもないではないですが、分かりにくいよ!


しかし、まったく詰まらないわけではありません。つか、逆に結末以外は超燃えなのですよ。特にザイオン攻防戦は前線の悲壮感と兵士の男気あふれる戦いっぷり、そして怒濤の物量でおしよせるマシン軍の猛威とで爆裂に盛り上がります。前作でチラッと出てきたミフネ船長がかなりオイシイところを持って行ってますな。前作といえば顔見せ程度に出てきたセラフ、ナイオビ、ジー、そして童貞高校生といった面々がそれぞれ持ち場で大活躍。激しく盛り上げます。肝心の主役はスミスと雨の降る中、河原で殴り合う番長同士のような喧嘩合戦を繰り広げ、さらには実写版ドラゴンボールもかくやという空中バトルに発展。果てはやっぱり水たまりの中でポカポカ殴り合うという、全体的に「少年ジャンプ」の影響が色濃い事態になっており愉快です。


ただねえ、このシリーズの売りは革命的な映像だったわけですが、今回そのへんの新しさというのはネタ切れな感じですね。『リローデッド』が凄まじかっただけに結構落差は感じますよ。


いろいろ書きましたが、個人的には愛憎半ばしつつもやっぱり好きさ!というわけでDVD買ってあと何回かは観たいと思ってます。最後、広げたフロシキはキチンと畳み切れなかったけど、次はがんばっておくれよ>ウォシャウスキー兄弟。というわけで次回作に期待しておりますです。ハイ。


(2003年11月08日)
マトリックス・レボリューションズ
The Matrix Revolutions
2003年 アメリカ
監督:アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーヴス キャリー=アン・モス