『マグノリア』観ました。
これがもう、まさに珠玉でした。開巻からイキナリ尋常でない緊張感で話が進んでゆきます。物語は特定の人物を主人公としない、いわゆるグランド・ホテル形式。群像劇な訳ですが、各人のエピソードはそれ自体で一本の映画として成立しそうなほど丁寧に描かれてて、それが神経細胞のようにからみ合いながら、全体として一つのドラマティックなうねりを生み出してゆくさまは余りに見事です。中盤のヤマ場、登場人物たちがそれぞれに過去を悔いながら、エイミー・マンの"WISE UP"を歌いはじめるシーン。ドン底まで追い詰められた皆の心情と、このシーンのあまりの見事さの両方に打ちのめされ、ここでもう涙ボロボロ。これを珠玉と呼ばずして何と呼べばいいのか。
…ただし、ここまでは。
いきなりここでどう説明していいか分からない壮絶な出来事が発生。余りにも余りな事態に口アングリ。何か説明が入るのかと思いきや、良く分からないまま映画はエンドマークを迎えます。何かキツネにつままれたような気持ち。
いや、映画がこのことで何を言わんとしているのかは何となく分かるんですよ(うまく言葉にできないですけど)。でも、何で●●●でなくちゃならなかったんだろう…それが分からない。それこそ「こういう事もあり得ることだ」の一言で片付けられるべき事なんでしょうか?
と、最後の最後に理解し切れないモノが残ったんですけど、それでも物凄くいい映画です。この、抜き身の刀を投げ付けられるようなストレートな痛みは、ちょっと他の映画には無い、独特のものです。必見。
(2000年03月05日)