黒澤清の『回路』。
こえー!こえーよー!
でもわかんねーよー!
でもこえー!
でもわかんねー!
いやハッキリ言って商業作品としてはヤバいほど理に落ちない映画。合理的説明無し。一応劇中で何が起こりつつあるのか…についての仮説が語られはしますが、それもあくまで仮定であって解答ではない。それでも説明のつかないこと多スギで劇場内にはナゼの嵐が吹き荒れていました。
つわけで娯楽作品のフリしてじつは観客をケムに巻く映画だったんですが、ビジュアルは強烈でしたねー。飛び下り自殺(爆裂に凶悪)、墜落する旅客機(これも爆凶)、無人の都市、壁のシミ、赤いテープ、よろける幽霊。そして哀川翔。不吉なイメージが全編に溢れております。殊に後半、都市が無人の廃虚となってからの映像は昔見た夢をそのままアタマの中から取り出して見せてるような手触りで…。ビジュアルだけでも物凄く吸引力のある映画です。あとはこれでもう少しだけスジミチ立てて判りやすくしてくれば言うこと無かったんですが(まあ理に落ちないぶん、悪夢としての恐さは際立ってると思いますけど)。ノベライズ買って読んでみようかとか思ったり。
それにつけてもトラウマ映像の宝庫です。小さなお子さまのいらっしゃるご家庭ではうっかり観られない一本。取り扱い注意映画。
(2001年02月19日)