ゴシカ

つわけで前から若干気になっていたのですが機会があったので観ましたよ『ゴシカ』。精神科医のハル・ベリーは檻の向こうの人を観察したりセラピったりする毎日でしたが、ある日起きたらなんと自分が檻の内側にいるではありませんか!えっナニこれ!と初めて坂口厚生大臣の髪型を見た人のように驚いていると、さらに自分が愛する夫を殺したという衝撃の事実が!というわけで一気に錯乱した彼女は一転して充実の独房生活を送るハメに陥ります。事件のあった晩の記憶はおぼろげなものの、雨の中傷だらけで立ち尽くす少女の姿があったのは覚えていた、という記憶を手がかりに、錯乱したり朦朧としたりしながら事件の真相を追うのであった…というサスペンスもの。謀略系サイコサスペンスの趣で、主人公が精神病患者として隔離されているというのが新しいですが、謎の正体は実は少女の幽霊だった!という展開で突然心霊ホラーの要素も入ってきてカツ丼にコロッケを乗せたような盛りだくさん感が炸裂します。


というわけでサイコサスペンス系の怖さ、心霊ホラー系の怖さがセットになった二色ふりかけのような映画ですが、一番怖かったのはそこではなくて「正気なのに異常者扱いされる恐怖」「正気なのに異常者扱いされ続けることで本当に精神に異常をきたすかも知れない恐怖」でした。「あたしゃガイキチじゃないのよお〜ぅおぅおぅ!」と絶叫するたびにまたひとつガイキチとみなされてしまうという絶望感と無力感がたいそう怖い。


あとハル・ベリーとペネロペ・クルスという二大美人女優の競演ですが、二人とも檻の中に入ってる役なので美人には程遠いブサイクっぷりが炸裂しており、これはこれで超高級素材で作ったよっちゃんイカの如きもったいない感でお好きな方にはたまらないかも知れません。



(2005年09月18日)
ゴシカ
GOTHIKA
2003年 アメリカ
監督:マチュー・カソヴィッツ
出演:ハル・ベリー ロバート・ダウニー・Jr ペネロペ・クルス