千と千尋の神隠し

『千と千尋の神隠し』観てきました。


いやこれ、すごくいいです。宮崎駿の前作『もののけ姫』は確かに掛け値無しの力作でしたが、面白さ、という点においては『…』と万人が黙り込んでしまうという微妙な出来で、わたくしもほの暗い劇場で何かこう残尿感にも似た気分を味わったものです。しかし今回はそのへんを反省したのか、かゆーい所に手が届きまくるとても楽しい出来。いつも通りのデザインの楽しさ、動きの楽しさもさることながら、美術、キャラデザ、声の演技、はしばしに込められた細かいギャグなどなど、全然退屈しない2時間余り。爆発するイマジネーション。もうホント、ニクいよ。いや憎い。


いや実を言えば、作劇上の詰めの甘さを感じなくもないのです。じつはこれ未完成なんじゃないか。そのうちDVDかなんかで完全版が出るんじゃないか、と思わせるようなキズもあったりはするんですが、しかしそれを補ってあまりある魅力的な美術!そして登場人物たち!特に今回キャラのほとんどが物の怪の類いとか八百万の神様でして、それのデザインを観ているだけでも十分楽しい。さらに異界の街並はつげ義春の漫画のようで不安感抜群ですし、舞台となる湯屋もワイザツさがとてもナイス。


声優陣もそろって好演です。特に湯婆婆を演じた夏木マリがサイコー!キャラデザインのインパクトに負けない迫力満点の名演。その他、北海道民の方にはお馴染みの大泉洋も大変芸達者なとこを披露しておられました。あと意外なとこでは我集院達也こと若人あきらも相変わらずの怪演。ていうか出てたのか、あきら。


聞くところに拠れば、『もののけ姫』を軽く凌ぎ、『タイタニック』をも抜くかという凄まじい興行成績を挙げているといいます。個人的には今のところ今年のベストワン。混んでる劇場にわざわざ出かける価値は確かにありますぜ。


(2001年07月31日)
千と千尋の神隠し
Spirited Away
2001年 日本
監督:宮崎駿
出演:柊瑠美 入野自由 夏木マリ