だいぶ前に録画してあった三池崇史監督のサイコサスペンス『オーディション』を観ました。
ぐはっ!(死)
しまったー熱出してる時にロクでもねーもん観ちゃったよー!ひいいー!…というわけでラスト20分はマジでHDRを停止したくなりました。いや別に出来がひどいとかワケわからないとかいう訳ではありません。むしろ、映画としては三池監督には珍しく直球の職人芸を見せた良作と言えます。言えますがしかしコレは…。
子持ちの男やもめで会社社長の石橋凌。そろそろ再婚でもすっかーとモヤモヤしていたところ、親友の國村隼が「おれに任せとけ!」と頼もしいお言葉。職権乱用&公私混同を大発動して、新作映画のオーディションに石橋を立ちあわせ「どうだーよりどりみどりだろう」といういかにも地位とカネのある中年オヤジが考えそうな嫁探しプランをご提案です。
で、おずおずしながらも石橋はそのオーディションに立ち会い、椎名英姫演ずるところの娘を発見します。容姿端麗、頭脳明晰、礼儀も立ち居振る舞いも申し分ナシ。なによりこの若さで四十男が唸るような死生観を身に付けている。という訳でたちどころに彼女にZOKKONになった石橋は童貞中学生のようにウキウキしながら彼女を口説きにかかります。ところが願ってもないことに彼女も石橋のことを憎からず、というかアカラサマにOKサインを発信してきて舞い上がった石橋は、國村の「ちょっと話がうますぎるよ」という忠告も無視して彼女を旅行に連れ出しホテルでハッスルタイム。彼女の内股に焼ごての痕があったりして一瞬引きますが、しかしまあ薄暗いホテルの部屋で自らすすんで全裸になった女性を前に撤退する男がいるはずもなく、男の本懐を遂げる石橋。
しかし、目覚めると彼女が消えている。その後連絡も取れない。居場所も判らない。というわけでオロオロの極みに達した石橋はわずかな手掛かりを元に彼女の消息を突き止めようとしますが、その過程でだんだんと彼女の恐るべき本性が明らかになって来て…。
というわけでサイコサスペンスであります。このへんは端折りますが要するに椎名英姫扮するところの娘がレクター博士とタメを張るがごとき迷いのないガイキチで、終盤、石橋が一服盛られて意識はありつつも身体の自由が利かなくなり、床に倒れ込んだところで彼女が現れてからの20分はまさに戦慄のひとこと。黒光りするレザーに身を包んだ椎名が無抵抗の石橋を裸に剥いて、幼児をあやすような口調で「痛いでしょう…きりきりきりきり…」「きりきりきりきり…」「きりきりきりきり…」と呟きながら石橋を裁縫箱の針山みたいにしてゆきます。のたうちまわる石橋。もうこの時点でわたくし的には十分アウツ。というかアウチ。ひいぃ…と停止ボタンを押そうか押すまいか逡巡しているうちに画面上ではさらにロクでもない事態が進行。椎名がにっこり微笑みつつワイヤーを手にして「これはね、骨付きのお肉でも簡単に切り落とせるのよ」。
やーめーてー!!(涙)
…というわけで一応結末は伏せますが、こうした描写を全くゴマカシなしに直球で描いており、観客の生理的嫌悪感を徹底的に煽る演出が炸裂。「やっぱり三池ってガイキチ?ガイキチ?」と汗だくで思ってしまう恐るべき映画でした。観る場合にはそれなりに覚悟すること。あと体調の良い時を選ぶこと。いやー久しぶりに映画観て心臓がパコパコしましたよ。ふう。
(2003年10月23日)