キャリパーOHとブレーキホース交換

 10年経過のため大規模メンテ計画の一環としてキャリパーオーバーホールとブレーキラインの交換を実施しました。

※注意…ブレーキは重要保安部品です。自分で交換した場合は点検整備の記録・保存が義務付けられています。また自己責任にて実施して下さい。自身ほか他人の生命を危険にさらすことになりますので十分注意して下さい。

フロントキャリパー1
フロントキャリパー

【準備】
 ネットで下調べをし、ブレーキライン交換に必要なフレアナットレンチが手持ちになかったため事前に購入しました。キャリパーオーバーホールキットは純正 品を知人を通して1割引で購入しました(品番F/01483-ST7-R00 \1,760×2 R/01473-SV4-000 \1,600×2 計\6,350税込)。ブレーキラインは以前から決めていた無限のミクロメッシュブレーキラインを平野タイヤより購入しました (\23,590税込)。分解時交 換となるホースクリップの購入を頼むのを忘れていた為、ホンダ部品販売にて購入しました(品番90651-538-000 \125×4 計\525税込)。

【交換(フロント編)】
 まずはフロントから実施です。フロントで慣れておいてからサイドブレーキ機構が付いていて難易度の上がるリアを実施するという順番がお勧めです。
純正ブレーキライン
純正フロントブレーキホース

1.ブレーキホースの車体側に付いているホースクリップをウオーターポンププライヤーで引抜き、フレアナットレンチを使用してホースナットを外します(精度の高いレンチを使用しないとナメてしまって後で大変なことになりますので安物のレンチは避けましょう)。こ の時ブレーキフルードが漏れてくるので注意します。外れた後は車体側ホースにキャリパーのブレーキブリーダーに付いているゴムキャップで栓をします。

2.続いてホース中間のブラケットとキャリパー側のホースを外して純正ブレーキホースを外します。

3.キャリパーはパッドの交換手順とほぼ同様に外していきます。取付けるときのトルク管理が面倒なので予めキャリパーマウンティングボルト、スライドピンボルトにマーカーで目印を付けておきます。

4.キャリパーを外してからスライドピンボルトを緩めるのは大変なので、車体にキャリパーが付いた状態でスライドピンボルトを上下を予め緩めておき、キャ リパーマウンティングボルトを外します。このマウンティングボルトは凄いトルクで締まっているのでスピナーハンドルを金属パイプで延長したもので緩めまし た。
フロントキャリパー取外し後
5.キャリパーが外れたらまず、スライドピンボルトを外します。スライドピンボルトが外れたらキャリパーブラケットとキャリパー本体が分離します。

6.ブラケットに刺さっているスライドピンは上下で異なりますので戻すときに間違わないようにしましょう。ピンの色が違いますので写真を撮っておけば確実です。
キャリパーブラケット
緑色っぽいコーティングがされているピンとコーティングなしのピン

6.スライドピンを抜きピンとピンが刺さっていた穴に付いている古いグリスを拭き取ります。

ブラケット側OH

7.オーバーホールキットに付いているピングリスを穴と新しいスライドピンブーツ内側に充填してスライドピンを入れます。あまり多く充填すると後ではみ出しま すので適量にします。スライドピンを入れると中の空気でブーツが膨らみますので余分なグリスと空気を隙間を作って出してください。滑らかにピンが動くのを 確認します。

8.次はキャリパー本体側です。自転車用空気入れを使ってピストンを押し出します。このとき外したブレーキパッドを当て板にしてピストンが勢いよく飛んでいかないようにブロックしながらピストンを取り出します。

Fキャリパー本体
古いピストンブーツ」は歪んでました

9.ピストンが外れたらピストンをきれいにして傷などがないか点検します。ピストンが収まるキャリパー本体のシリンダー側も古いシールやブッシュを外して清掃し点検します。

10.問題がなければ新しいピストンシールにシリコングリスを塗ってシリンダーにセットした後、ピストンブーツにもコスモラバーグリスを塗ってシリンダーにセットします。

11.ピストンを収めるのは外したときと同様にブレーキパッドを当て板にしてピストンをシリンダーに平行にあてがいます。その状態で自転車用空気入れで空気を送り込むとビストンブーツが膨らみピストンにうまく被ります。

12.ブーツが被ったらピストンをゆっくりとシリンダーに押し込んでいきます。斜めに押し込んでシリンダーやピストンを傷つけないように注意します。

13.ピストンを押し込み終わったら、空気入れで空気を軽く送り込んでみてスムーズにピストンがスライドするのを確認します。

14.キャリパーブラケットとキャリパー本体を合体させて外したときと逆の手順で車体に取り付けます。その前にブレーキパッドのローター当たり面をローターがレコード盤状態になっているのを少しでも解消できればと期待して紙ヤスリで平らにしておきました。

15.キャリパーが取り付け終わったら次はブレーキホースです。無限ミクロメッシュブレーキラインには取付け時に必要なシールワッシャーが付属しています が、ホースクリップは付属していません。マニュアルでは分解時交換に指定されています。今回は部販で調達しましたが、再利用でも問題ない気がしました(だ から付いていないのか?)。純正と同じ取り回しになるように注意しながらキャリパー側から取り付けていきます。ホースのボルト・ナットの取り付けは無限の マニュアルに載っているトルクで締めます。オーバートルクに注意です。

無限ミクロメッシュブレーキホース

16.全て取り付け終わったらボルトやナットの締め忘れがないか最終確認した後、エア抜きをして終了です。

【交換(リア編)】
 フロントの後はリアです。結論から先に書くと、リアで大失敗をやらかしリアキャリパー のOHがリアキャリパー交換となってしまいました…。特に問題が無ければサイドブレーキ機構の部分のオーバーホールには手を出さないほうが無難です。純正 オーバーホールキットにはサイドブレーキ部分のオーバーホール用にカップやOリング等が付いていて手を出したくなりますが、フロントと同じ 部分のピストンシール・ブーツの交換だけに留めておくのが吉です。理由は後述します。
リアキャリパー
リアキャリパー

1.キャリパー上にあるカバーを外し、ほとんどフロントと同様に外していきます。

2.キャリパーとサイドブレーキワイヤーを切り離します。ワイヤー先に付いているピンを外し、ワイヤステーを外しキャリパーを車体から外します。
サイドスプリング
画像下の裏側にピンがあります

3.キャリパーピストンはフロントと違いねじ込み式になっています。ビストンの頭に十字の溝がありますので。プライヤーなどで回しながらピストンを外します。

4.ピストンシールとブーツ、スライドピンブーツ交換だけなら、フロントと同様の手順でOKです。
リアキャリパー分解リアキャリパーピストン
パッド側に凸がありこれがピストンの十字溝に嵌ってます

5.シール類の交換後、ピストン戻しは少しだけピストンをねじ込んでから空気を送ると出すとブーツが膨らみピストンに被ります。後はそのままねじ込んだあとピストン頭の十字溝とパッドの突起が合うようにして組み付けます。

純正リアブレーキホース
純正リアブレーキホース

6.後はフロントと同様に無限ミクロメッシュブレーキラインに交換して、全て取り付け終わったらボルトやナットの締め忘れがないか最終確認した後、サイドブレーキの調整とエア抜きをして終了です。


【番外編(大失敗編)】
 ここからは失敗談です。交換(リア編)の最初に記述した大失敗の顛末です。最初に注意しておきますが、サイドブレーキ機構部分のオーバーホールは専用工具と自信が無い場合はやめましょう。
Oリング図1 スリーブピストン図2
分解図図3
 キャリパーのピストン受け側シリンダー内にサイドブレーキ機構部分があり、その機構部分のアジャストボルトにカップが付いています(図1)。さらにその奥、スリーブピストンにOリングが付いています(図2)。それらを交換するために機構部分を外すのです が、それはスナップリングプライヤーを使ってリテーニングリングと呼ばれるスナップリングを外すことで簡単に分解出来ます。
 しかし、元に戻すのが専用工具なしでは非常に大変です。この部分はサイドブレーキ調整用のスプリングを縮ませて、シリンダー側の 溝にスナップリング(リテーニングリング)でサイド機構部分を固定している構造になっています。専用工具を使うかディープソケットで代用するかしてスプリングを縮ませてからス ナップリングを嵌めないといけません。まともな工具がないと非 常に難しいです。言葉で説明するとややこしい機構ですが、図1と図3を見ると分かると思います。

 私は嵌めるのに挫折してディーラーにキャリパーだけ持ち込み無理を言って嵌めてもらいましたが、ディーラーにも専用工具が無く、駄目もとでお願 いして油圧 工具で無理やり押して嵌めこんで貰いました。が、これがいけなかったらしく自宅に戻りオーバーホール作業を開始したところ、サイドブレーキ部分がまったく 動かないことに気づきました。これを調べるのに再度スナップリングを外し、サイド機構部分をばらしました。最後まで分解できず詳細は分かりませんでした が、おそらくサイドブレーキ機構が正規の位置に無い状態で無理矢理押し込んだ為、サイドブレーキ機構内部にあるピン(図2のロッド)が壊れたと思われま す…。そして先に書いた通り、この部分は自力で元に戻すことが出来ないので当然キャリパーの装着も出来ず、不動車となってしまいました…。
 この時点でディーラーの営業時間は終了していました。結局いつもお世話になっているショップがまだ営業時間だったので、無理を言ってリアキャリパーの出張修理を依頼しました。
 数日後、自宅駐車場へ出張してもらい片側のキャリパーを 新品にASSY交換してなんとか自走できるようにしてショップへ移動し、反対側のキャリパーもバランスをとって新品ASSY交換すると共にリアの無限ミクロメッシュブレーキラインもついでに取付けてもらいました。

 結果的には非常に高いオーバーホール代となりまし たが、勉強代とキャリパーを新品にする時期が早く来たと思うことにして納得しました。

インプレッション
  キャリパーオーバーホール直後はブレーキパッドにペーパーがけした影響で、フロント、リアともにローターへの当たりがまだでていない状態なので、正確なイ ンプレは当分先になりますが、今のところブレーキ踏力に対してリニアに制動が変化してくれている感じがします。そして何よりも感じてたのがオーバーホール や交換をしたことによる安心感です。限界走行はまだ試せませんがこれから楽しみです。

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