STRANGE, EXOTICA ROOTS


 ■ STRANGE, EXOTICA ROOTS

  2006年4月5日(水)



スウィングタイム・イン・スプリングタイム EMレコード

EM1007CD

『スウィングタイム・イン・スプリングタイム』

ルウ・ロンドン
  この懐かしアルバムは、『Any Old Time』というロック・バーを東京・築地でオープンしていた頃、新譜で購入してお店でいつも流していた。1970年代の中盤から終盤はブルーグララスに凝り固まって、トラッド・グラスからニュー・グラスまで毎日楽しんでいた。こうした志向からクラレンス・ホワイトトニー・ライスのスウィンギーなアコギにはまり、とにかく新世代のブルーグラス・バンド盤を片っ端から購入していた。昔からニューヨークで活躍したグリーン・ブライア・ボーイズジョン・ヘラルドが在籍)や、ボストン〜ケンブリッチ・フォーク・シーンで名を馳せたビル・キース&ジム・ルーニーが大好きだったので、都会派のアルバムに網を張っていた。ルウ・ロンドン盤は、こうした背景からアンテナに引っかかった宝物。針を落として驚いた。大好きだったジャンゴ・ラインハルトと、ボブ・ウィルズ&テキサス・プレイボーイズの音楽が、ヒップなヴォーカル&サウンドとしてブレンドされ、聴いたこともないアコースティック・ミュージックとして生まれ変っていたことだ。とにかくお洒落だった。小気味いい2ビート、アコースティック・スウィングの爽快さが、アルバム全体に漲っていた。冒頭曲「スウィングタイム・イン・スプリングタイム」は、いうまでもなくジャンゴの傑作カヴァー。これを聴いただけでルウ・ロンドンに惚れてしまった。いまでもこの感激が忘れられない。永遠のアコ・スウィングの名盤だ!



カントリー・ムーグ完全盤 VROOM SOUND / ヴィヴィド

VRCD-3330

『カントリー・ムーグ完全盤』

ジル・トライソール
  今では電子音楽はどこでも聴かれているが、1970年代初頭の音楽シーンではまだあまり騒がれることはなかった。時代の寵児は、ムーグ博士の登場だった。「ピコ・ピコ」と聴き覚えもない音が世間を驚かした。シンセサイザーの登場だ。ムーグ博士発明のシンセにギターから持ち替えるミュージシャンも続出した。ムーグ・シンゼサイザー・ブームがアメリカで沸き起こり、その余波がやがて日本にも到来した。わが国での先駆者はご存知、富田勲さん。この最先端の電子楽器と、カントリー・ミュージックを結びつけた奇特なミュージシャンが1972年、73年に2枚のアルバムを発表した。その名は、ジル・トライソール。前者のアルバム名は、『カントリー・ムーグ』。後者は『ナッシュヴィル・ゴールド』。本盤は、この2枚を収めている。時代の最先端を走ったムーグと、アメリカン・ルーツとして存在感を放ったカントリーとの結びつきは、予想以上のキュートさを漂わせサウンドとして録音された。ブルーグラスの大ヒット「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」(映画『俺たちに明日はない』のテーマとしても有名)、ジョニー・キャッシュのスーパー・ヒット・カヴァー「フォルサム・プリズン・ブルース」レイ・チャールズのお馴染み「愛さずにはいられない」(RCAカントリー-歌手、ドン・ギブソンがオリジナル)などが聴き所だろ。日本盤化にあたって、ぼくと鈴木惣一朗さんが解説を担当した。





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