■ STRANGE, EXOTICA ROOTS |
■ 2005年1月17日(月) |
バッファロー BUF-108 『イン・ザ・ランド・オブ・ドリームズ』 スタンリー・スミス |
「英国音楽の深い森」を題材としたレコード・ガイド本が好評だと聞く。筆者の和久井さんの見識には脱帽だ。洋楽の解説、その他を生活の糧にするライターの中で、アメリカン・ロック系は、勉強不足の観をぬぐえない。日頃アメリカン・ミュージックにお世話になりながら、和久井さんが持った視点のような容(かたち)で米国音楽の深い森へとガイドする力がない。困ったものだ。スタンリー・スミスの評価は、アメリカ音楽の仕事に携わるライターから絶賛を浴びたことはない。アンテナの張り方が旧態依然だと指摘せざるを得ない。が、ハイファイ・レコードの大江田さんとか、ノアルイズ・レコードの阿部さんとが褒めている。これっておかしくないですか?「いいんじゃない」って済まされませんよ。音楽評論家ってアテになりませんから…。いまや洋楽を語る上でチェックすべきコメントは、レコード店の店主だったり、ミュージシャンだったりですよね!このCDに出会ったときの感動は、もう筆舌に尽くしがたい。鳥肌がたった。ぼく流で言わせてもらうと「フォーキー・ジャズ」の大傑作。スタンリーは、テキサスのジャグ・バンド、アサイラム・ストリート・スパンカーズのメンバーでも有名だ。ギター、クラリネットをこよなく愛し、彼のジャズ・ヴォーカルは、枯れたフォーク歌手がジャズをうたっているようでこころ優しい。鈴木惣一朗さんが絶賛した口笛入りのかるいボッサのインスト「Stanley's Whistle」には、もう身も心もトロトロだ。 |
ユニバーサル UCCU-9001 『50th ステイト・ジャズ』 ライル・リッツ&ヒズ・ジャズ・ウクレレ |
アコースティック・スウィング・ブームの仕掛け人などと、最近呼ばれたりする。なんか照れるが、まだまだ埋もれたアメリカ音楽があるんだ、と多くの音楽ファンが喜んでくれるのは嬉しいものだ。茅ヶ崎小学校に通っていた頃からウクレレに親しんできた。ということで、ハワイアンというより「ウクレレ」という可愛い楽器が大好きだ。こうした背景で中古レコード店を覗いたりする時は、必ずウクレレをあしらったジャケをチェックすることが多い。本盤は、友人が自慢したアナログ盤の1枚だった。ウクレレで小粋なジャズといった内容で、ぜひ世界初CD化したかった。ユニバーサルのジャズ担当者、宇野さんの理解でやっと実現した。ライル・リッツというミュージシャン名は、熱心なロック・ファンだったら先刻ご存知だろう。西海岸発のロック盤の裏をチェックすると、彼の名を発見できる。そう、ベース奏者として数々のレコードに参加している。ビーチ・ボーイズ、ランディ・ニューマン、ヴァン・ダイク・パークス、ニルソン、その他名盤に登場するのだが、ライルはウクレレ・ジャズ奏者としてジャズ・レコードの名門、ヴァーヴに1950年代後半、2枚のアルバムを遺している。本作はその1枚。どうやらハワイがアメリカの50番目の州として産声をあげたときの記念盤だという。お馴染み「ブルー・ハワイ」も収録されているが。基本的にはウクレレで「クール・ジャズ」の可能性を示した意欲作。 |
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