STRANGE, EXOTICA ROOTS


 ■ STRANGE, EXOTICA ROOTS

  2004年5月26日(水)



On The Road, Denver, CO 03/13 SCI

03-13-04

『On The Road, Denver, CO 03/13』

The String Cheese Incident
  ジャム・バンドの王者、ストリング・チーズ・インシデントって、新しいアメリカン・ミュージックを切り拓いているのだと想う。ブルーグラス、ブルース、70年代ロックなどを上手く継承しながら、斬新なサウンド作りは驚くばかりだ!やっと日本ツアーが終わり、もうアメリカン・ツアーを精力的にこなしているらしい。いまやグレイトフル・デッド・ファンのこころをつかみ、21世紀のアメリカン・ロックを牽引する勢いだ。彼らのツアー・ドキュメントは、直ぐに有料でダウンロードできる。新しいロック・ミュージシャンの生き方だろう。2004年3月13日のデンヴァー・ツアーを完全記録したCDがリリース、直ぐにゲットした。これには深いワケがある。ブルーグラス・シーンの大物フィドル(ヴァイオリン)奏者、ヴァッサー・クレメンツが参加しているからだ。ヴァッサーは、デヴィッド・グリスマンピーター・ローワンサム・ブッシュなどの70年代プログレッシヴ・ブルーグラス・サウンドに深く関わった人物。70年代のニュー・ウェイヴ・グラスの名盤『オールド・アンド・イン・ザ・ウェイ』でもお馴染みだ。キャリア豊富なヴァッサーをゲストに迎えたストリング・チーズ・インシデントの演奏は、未来のアコースティック・ロックの可能性を如実に示している。聴きどころは、ジャンゴ&グラッペリの名作カヴァー「Minor Swing」だろう。こんなカッコいい演奏は、かつて聴いたことがない。ラテン風味のパーカッションとヴァッサーの表情豊かなフィドルのバトルがお洒落。ビリー・ナーシのギターは、何故かトニー・ライス風味。いやー、この6分21秒には、ノックアウトされた。その他にヴァッサー絡みのトラックで光るのは、「Pig In A Pen」「DarkHollow」「Lester Had A Coconut」「Kissimmee Kid」「Dixie Howdown」「LonesomeFiddle Blues」。まさにフリー・アコースティック・ロック・ミーツ・ブルーグラスといった感じ。



The Spark バッファロー

BUF-120

『ザ・スパーク』

クリス・ダニエルズ
  ヴェテラン・ブルース・ロック・バンド、クリス・ダニエルズ&ザ・キングズの最新盤が、いま気に入っている。数年間に発売した『Louie Louie』というアルバムで彼のファンになってしまった。ジャイブ&ジャンプの達人たち、ルイ・アームストロングルイ・ジョーダンルイ・プリマなどのヒットをカヴァーしたトラックが満載で、ぼくの隠れ名盤となっていた。で、新作『ザ・スパーク』はというと、これが頗る気持ち良いサウンド作りで、あっという間に愛聴盤となってしまった。この新作は、クリスと素敵な仲間たちを交えての録音で、ゲストにぼくの大好きなミュージシャンの名前を発見して、思わず興奮してしまった。フィドル&マンドリンにサム・ブッシュ、スライド・ギターにサニー・ランドレス、ヴォーカルに妖艶な女性歌手として人気の高いモリー・オブライアン、カントリー・ロックーの雄、ポコリッチー・フューレー、ピアノにリトル・フィートでお馴染みビル・ペインなどが参加。70年代ロックの香りを漂わせながら、それでいて新鮮な音つくりだ。新しいアコースティック・ロックの方向性を示した傑作盤といってよいだろう。クリスのヴォーカルは、ローウェル・ジョージのようであったり、ジョン・セバスチャンを彷彿させるものだったり、ともかくこころ優しい歌声がこころに染みる。上質なニュー・アメリカン・ルーツ・ミュージックを提供することで広く知られているバッファロー・レコードが、何と日本盤として6月25日に緊急発売してくれるという。楽しみだ。





一覧に戻る トップに戻る