ジャム・バンドの王者、ストリング・チーズ・インシデントって、新しいアメリカン・ミュージックを切り拓いているのだと想う。ブルーグラス、ブルース、70年代ロックなどを上手く継承しながら、斬新なサウンド作りは驚くばかりだ!やっと日本ツアーが終わり、もうアメリカン・ツアーを精力的にこなしているらしい。いまやグレイトフル・デッド・ファンのこころをつかみ、21世紀のアメリカン・ロックを牽引する勢いだ。彼らのツアー・ドキュメントは、直ぐに有料でダウンロードできる。新しいロック・ミュージシャンの生き方だろう。2004年3月13日のデンヴァー・ツアーを完全記録したCDがリリース、直ぐにゲットした。これには深いワケがある。ブルーグラス・シーンの大物フィドル(ヴァイオリン)奏者、ヴァッサー・クレメンツが参加しているからだ。ヴァッサーは、デヴィッド・グリスマン、ピーター・ローワン、サム・ブッシュなどの70年代プログレッシヴ・ブルーグラス・サウンドに深く関わった人物。70年代のニュー・ウェイヴ・グラスの名盤『オールド・アンド・イン・ザ・ウェイ』でもお馴染みだ。キャリア豊富なヴァッサーをゲストに迎えたストリング・チーズ・インシデントの演奏は、未来のアコースティック・ロックの可能性を如実に示している。聴きどころは、ジャンゴ&グラッペリの名作カヴァー「Minor Swing」だろう。こんなカッコいい演奏は、かつて聴いたことがない。ラテン風味のパーカッションとヴァッサーの表情豊かなフィドルのバトルがお洒落。ビリー・ナーシのギターは、何故かトニー・ライス風味。いやー、この6分21秒には、ノックアウトされた。その他にヴァッサー絡みのトラックで光るのは、「Pig In A Pen」「DarkHollow」「Lester Had
A Coconut」「Kissimmee Kid」「Dixie Howdown」「LonesomeFiddle
Blues」。まさにフリー・アコースティック・ロック・ミーツ・ブルーグラスといった感じ。 |