■ STRANGE, EXOTICA ROOTS |
■ 2004年3月17日(水) |
ユニバーサル DL-78805 カクテル・ウィズ・キャヴァレロ カーメン・キャヴァレロ |
アメリカン・ミュージックで「乙な味」はというと、ジャズ・ピアノに尽きる。カーメン・キャヴァレロは、わが国でも昔から人気が高かったピアノ奏者だ。映画『愛情物語』のサントラで有名になり、優雅なピアノ・サウンドのとりことなったファンが多かった。このCDは、まさに「ピアノの詩人」と異名を取っただけあって、ソフト&スウィート・サウンドに溢れている。本作は「ユニバーサル・ピアノ&スウィート・コレクション」シリーズから発売された名盤10枚のなかの1枚。ジャケットから分るようにホテルのラウンジで聴いたら最高だろう。ホーム・パーティのBGMに打ってつけだ。カーメンのピアノ録音は、「カクテル・ミュージック」と呼ばれたりする。ちょっと大袈裟にいえば、究極の「癒し系ミュージック」。フランク・シナトラの名唱でお馴染みの「All The Way」、ザ・プラターズでヒットした「Twilight Time」を聴くと、気持ちが穏やかになってくる。余談だが、ナッシュヴィル・サウンドで大活躍したカントリー・ピアノの巨人、フロイド・クレイマーも、このカーメンの大甘サウンドにかなり影響されたとか…。ポップスやロックに熱中すると、どうもジャンルに拘ってしまうファンが多い。だが、ブルーグラスとか、70年代ロックとかを一途に聴き込むファンって、自ら視野を狭めて上質の「グッド・タイム・ミュージック」を見逃している。もったいない話しだ。 |
Orb Discs 0RB-1005 HEY THERE JOHN MILLER |
25年ぶりのソロ・アルバム。洒脱なヴォーカルと小粋なギターが帰ってきた。アコースティック・ファンを魅了した『ガーシュウィンでスウィング!』に負けず劣らずの心温まる録音集。いつもながら独特の小唄が聴きどころ。ジャズ歌手では味わえない優しさがここでも溢れている。アルバム・タイトルとなった「Hey There」から、ラスト曲のヘンリー・マンシーニ楽団でお馴染みの「Moon River」までいっきに聞き惚れ、一息するのを忘れてしまった。こういう音楽がニューヨークのブルーグラス・シーンから生まれたって、ほんと奇跡ですよ。12曲収録されていて、2曲がインストゥルメンタル。マーティンの000型ギターを使っているのだろうか?アコギ特有の人肌のぬくもりを感じさせ、「ジャジーなギターっていいなあ」と、再びギターを手にしたい願望にかられた。ジョン・ミラーの存在は、魔法のようですね。ソフト・ロックというジャンルが話題となっているようですが、ドリーミーなヴォーカルは、まさにそれではないですかね?マイルス・デイヴィス、ニーナ・シモン、最近ではリッキー・リー・ジョーンズでお馴染みの「Bye Bye Blackbird」が、本盤のハイライトかも。甘いヴォーカルと小気味良いギターが一体化して、思わず聴き手をハミングしたい気分にしてくれる。フランク・シナトラのヒット・カヴァー「Thought About You」も聴きどころ。こういうのを『銘盤』って言うんでしょう。 |
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