■ STRANGE, EXOTICA ROOTS |
■ 2003年11月20日(木) |
ワーナー WPCR-10714 アート・オブ・フォーキー V.A. |
アメリカン・フォークを幅広く捉えたコンピレ盤。心温まるジャケ・イラスト(表裏)はわが畏友、本 秀康さんが書き下ろしたもの。これだけでも本盤は、価値が高い。お見せできないが、中面ジャケットのイラストも傑作。マリア・マルダーとレコスケのコラボレ・ライヴの模様が微笑ましく描かれている。またコンピレ盤を決して侮ってはならない。時にはマニアックなトラックと遭遇したりする。本盤にもこうした点がさりげなく導入されている。白人リヴァイヴァル・ブルースの先駆者、エリック・ダーリングの珍しい録音や、ランブリング・ジャック・エリオットのディラン・カヴァー「北国の少女」(これは泣けるぞ!)などが、本盤で聴けたりする。後は70年代フォーキーを代表する大物ミュージシャンのオンパレード。マリア・マルダー、タジ・マハール、ジョン・フェイヒイ、ジム・クウェスキン・ジャグ・バンド、バーバラ・キース、トニー・ジョー・ホワイト、ロジャー・ティルソン、ジョン・ハートフォード、ライマン・ファミリー、その他の作品が味わえる仕掛けだ。1960年代にブームとなったフォーク・リヴァイヴァルが、70年代まで脈々と継承されたことが良く理解できる。21世紀を迎えて「アメリカン・フォークはもうないよ」なんてのんきにいってしまうロック系音楽ライターって、ほんと信用できない。ギリアン・ウェルチの活躍をどう想っているのだろう。ウェルチだって、60年代フォークの流れを継承しているんだ。本盤は噂ではまもなく廃盤だとか。お早めに入手を・・・。 |
オーマガトキ・ワーナー OMCX-1109KICO-771 ホームメイド・カッツ / ルーツ・ロック・レガシー V.A. |
コンピレ盤の妙を垣間見せた素晴らしいアルバムが2枚リリースされた。本作とその系列の作品『バウンシン・ア・リトル / アナザー・ストーリー・オブ・スウィング』だ。絶妙の編集は、盟友宇田 和弘さん。ジャンルを超えた聴き方は、ロック系ライターでナンバーワンだろう。フォークにも、カントリーにも、ジャズにも、ロックにも、ビートルズにも強い宇田さんならではの編集ワークが絶品。本盤は、ロック・ミュージシャンのルーツを活字ではなく、音で紐解くものだ。たとえばこんな具合。ジェフ&マリアは、ヒルビリー・ブルースの第一人者、デルモア・ブラザースの「ブルー・レイルロード・トレイン」をカヴァー。ジェイムズ・テイラーは、フォーク・スタンダード「ワンダリン」をさりげなくうたう。タジ・マハールは黒人女性ブルース歌手、エリザベス・コットンの「フレイト・トレイン」をうたう。嬉しかったのは、日ごろからザ・ウィーヴァーズ録音で親しんでいる「アイ・ネヴァー・ウィル・マリー」のカヴァー傑作が収録されていたことだ。誰がうたっていると想いますか?何と愛しのリンダ・ロンシュタットなのです。50年代カントリーの大御所、ハンク・ウィリアムズの「ロンサム・ホイッスル」は、リトル・フィートで味わえる仕掛け。ぼくの好みは、マリア・マルダーのジミー・ロジャーズ・ソング「エニイ・オールド・タイム」。エミルウ・ハリスの「エンジェル・バンド」(原曲はザ・スタンリー・ブラザース)、ライ・クーダーの「おやすみアイリーン」(レッドベリー)もゴキゲン。 |
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